2019年01月


ひたすら全裸靴下で唱題を続けると、携帯が鳴り出した。
どうやら高校の同級生からメールが来ていた。

Jちゃん「もっこり君は分がるど思うげど、俺プロボクサーさなりでくてボクシング部さ入ったんだげど人間関係最悪だし、どう頑張っても先生にも一緒に部活やってる仲間にも認められないで陰口ばっか。マジでしんどいわ。。。」
 
このような内容だった。メチャクチャびびった。
悩んでいる友達に仏法を教えたいとずっと祈っていたらメールが届いたのだ。
部活で無視などされて、いじめに遭っていて体育館で泣いている彼の姿は度々見ており私も心配になっていたことから、すぐにメールを返した。

もっこり「ずっと真面目にボクシング頑張ってきたじゃんの。それでも認めでもらえねど辛いよの。Jちゃんみでぇな人は仏法やって努力報わいだ方がいよ!一緒に仏法やんねが?詳しい話だばASさんって人が全部説明してくれっから。」

Jちゃん「ASさん?仏法?お坊さんの知り合い?」

もっこり「車屋さん。仏法やってる俺の先輩だよ。Jちゃんイメージしてるのど全然違うど思う。とりあえず一回会って話一緒に聞いでもらわねが?」

Jちゃん「わがった。30(日)の昼ならいよ。」

もっこり「了解!せば30日13時にSKT駅前でどげだ?ASさんど一緒に車で来っさげ。」

Jちゃん「わがった。」

…と、勢いで話してしまったがASさんに電話で確認をとる。

もっこり「ASさん!30日の13時にSKT駅で約束とれたんすけど休みですよね?」

AS「ぉお!有難いの〜もちろん大丈夫だよ。一緒に頑張ろの〜!」


2005年1月30日(日)PM1、SKT駅前にてー


約束通りにJちゃんが駅に来てくれた。
私はビデオ放映の登壇で見聞きした末期ガンも治る内容を話して仏法には凄い力があるから絶対にJちゃんの悩みも解決出来ると話した。
続いてASさんが自分の体験を交えながら噛み砕いて話していく。
1時間程話した末ー

Jちゃん「やってみます。」

そのまま自宅拠点で入信勤行が行われた。


ー2月上旬


自分に自信の無かった私は人助けをした実感から清々しい気分となり、また友達に教えたいと自宅でいつもの如く全裸に靴下姿になり唱題していた。
1時間くらい唱題すると、するとまた携帯が鳴り出す。

SY「彼女から着信拒否にされだ。もう終わりだ…。」

先に書くが、彼は後に私と共に幹部として顕正会で活動することになる。
そして小学校から一緒で家もお隣さんだった彼に私はいつもの様に馴れ馴れしく、

もっこり「 とりあえず今夜会うぞ!」

このようなメールを送信してその日の夜20時にSSKさんと突撃訪問する。
開口一番に、

もっこり「SY!今がら俺達ど一緒に来い。お前にいいモノ教えでやる!」

SYは明らかに怯えている。そりゃそうだ。
私の後ろには支隊一強面のSSKさんが立っているから怯えているのだろう。
だが私は容赦しなかった。

もっこり「今がら1時間だげ時間つくれ!仏法やれば絶対変われる。時間無いなら今すぐ支度して来い!すぐに済ませる。」

SY「いや、今はちょっと…」

もっこり「は?ふざけんなテメーぶっ殺すぞ。こっちが下手に出てりゃ調子乗りやがって。お前みでぇな薄情な奴が罰で無間地獄行ぐんだからな。覚えでろよゴルァ!!」

SY「………(´;ω;`)」

今振り返ると顕正会時代の中でもトップクラスに入るくらいの酷過ぎる勧誘だった。
話を進める前にもし仮に彼がこのブログに辿り着いた時のことを考慮して彼に一言書きたい。


SY.Benよ、本当にあの時はごめんな!
近いうちに連絡先入れておくからもし辿り着いたら連絡貰えると嬉しいです。


SSKさんが苦笑いしながら、SYに話しかける。

SSK「…SY君、ガンダムどが好ぎが?へへへ。」

もっこり(SSKさんの笑顔引きつってらぁ(笑)ってか何で散々俺に頑張ろうって言った挙句にSYのペースに合わせんのかよ!頼むよSSKさん…)

腑に落ちないまま、後日入信の約束をして彼の家を後にしてSSKさんの車中で語り合う。


SSK「もっこり君!あれはやり過ぎだ(苦笑)SY君を救いだい気持ちは分がるし有難い。でも行ぎ過ぎるど却って法下げるぞ!」

もっこり「末期ガンも治せる力があるって聞いたらフツーどんな状況でも誰だってすぐに仏法やると思いますよ!それなのにアイツうじうじしてておかしくないっすか?」

SSK「いやいやいや(苦笑)」 

私はSSKさんの応援で半強制的に入信して勤行ができてたこともあり、SSKさんの対応に納得いかなかった。


ー翌日

ASさん応援のもと、SYの入信が叶った。

入信勤行直後にSYが携帯を開くと着信拒否していた彼女さんから、

「今まで本当にごめんね。うちら、やり直せないかな。。。」

そんなメールが届いていたとのことだった。
SYは猛烈に興奮しながら私たちに携帯を見せながら話していた。
私たちもあまりにも早い展開にびっくりしていた。


ー翌週


私はもっと友達に仏法を教えて悩みを解決させたいと、自宅で1時間くらい唱題していた。
無論全裸に靴下で。
もうここまでくると文底に秘沈されしセクハラである。
しかもまた携帯が鳴り出した。
まったく顕正会の仏様は寛大である(笑)

DM「もっこり久しぶりだの。やべぇよ、実は俺先輩がら目つけられだ。おっかねぐて学校さも行げでねぇ。。。」

もっこり「マジかよ…それはやべぇの。お前何かやらがした?」

DM「いや、俺は何も。でも変な噂流れで俺がとんでもねぇ悪者扱いされでるわ今。」

もっこり「せば俺SSKさんって先輩ど一緒にDMん家行ぐわ。んでお前さ仏法教える。仏法やれば絶対解決でぎっから!今度の土曜の昼1時に大丈夫が?」

DM「おう、わがった。来てくれ!」


土曜日にSSKさんと一緒にDMの家にお邪魔する。

もっこり「うっすお邪魔します。DM久しぶりだの!」

SSK「こんちわ。お邪魔します。」

DMはやつれており無表情だった。
どうやら例の一件以来ずっと引きこもり続けているらしい。
無理もない。例の先輩は地元では知らない人が居ないくらい有名な不良。
中学時代に他校生10人を仲間と複数人でメリケンをつけて顔が変形して病院送りになるまで殴りつけ、1人は失明してしまった。
その場で他校生に同校の女子生徒を何人か携帯で呼び出させ、真冬の中全裸にさせて校歌を歌わせた後雪に1人ずつ埋めてる最中に警察が来て補導されたとのこと。
現場を見ていた女子生徒たちは精神的にかなりのダメージを受けて、うちの何人かは病院通いになったそうだ。
山形県内でも大々的にニュースで取り上げられた。
DMはその先輩と街中で会えば同じような状況になるかもしれない。

私は彼に少しでも気を紛らわせようと、話を聞いた後すぐに仏法の話をした。

もっこり「話はわがった。しんどがったろ、でもDMが勤行始めればもう大丈夫だ。俺はこの前お前に話した仏法をこれがら一緒にやりだい。勤行する場所はすぐ近ぐにある。今がら行ごうぜ!」

DM「俺ん家の近く…マジがよ(爆笑)いいよ、行ぐわ。今がら着替えで準備すっがらSSKさんどタバコでも吸って待ってでくれ。あ、SSKさんも灰皿使ってください。」

SSK「おう、もっけだの。」

彼の家はあの山の麓にある自宅拠点から程近い場所にあった。
携帯はちょっと歩けばすぐに圏外になり、クマなどが出現することも時々あり、コンビニすら一件もない村にあるのかよという気持ちだったのだろう。
無論その村は歩きなのにヘルメットを被る小中学生をよく見かける場所である。ASさんもこの村の出身である。
ちなみにもっけだのは私の地元の方言でありがとうという意味だ。

DMの入信から1週間ほど経ったある日、DMから連絡があった。
聞けば例の先輩と仲良くなって結果的に解決したと。
私も聞いた時はびっくりしたが、何より彼が1番にびっくりしたことだろう。
圧倒されながら、2人で「功徳ってスゲーな!」なんて盛り上がった。

以来Jちゃん、SY、DMと一緒に日曜勤行やビデオ放映に参加するようになる。


ー2005年2月下旬

私はまたまたいつものユニフォーム姿になり、唱題していた。
するとまたまた携帯が鳴り出す。
もう全裸靴下と顕正会での唱題は私の中で勝利の方程式となっていた。

AB「 高望みし過ぎで大学全部落ちそう…あー合格するためにずっとやって勉強頑張ってきたなさ!」

中学時代の先輩のABさんからのメールだ。
先に書いておくが、ABさんも私とともに幹部として、顕正会の活動をするようになる。
ABさんとメールのやりとりを始める。

もっこり「今がらAB君家のアパートさ行ぐがら待ってで!5分で下まで行ぐわ。タバコ吸って待ってろや。AB君さ究極の受験必勝法教えっさげ。」

ABさんは私の2個上の先輩だが当時は付き合いが長かったこともあり、生意気な口のきき方をしていた。

AB「 悪ぃけどあどAY学院の試験残ってで切羽詰まってんなやの。終わるまで家族以外誰ども絶対会わねぇさげ。てがお前が俺に受験の必勝法って(笑)大事な時に冗談はやめろ。3月1日からなら時間作ってやっがら!」

もっこり「どうしても受験終わるまでは会えねぇなが?」

AB「んだ。会えね。」

もっこり「俺のごど愛してるなら1時間だげ俺にくれ!」

AB「しつこいわ。頼むがらマジで3月以降さしてくれ。じゃあの。」

それからメールのやりとりは3月までなかった。


ー2005年3月1日PM7時ABさん宅前にて


AB「落ち着いだがら今日の夜だばいいよ。」

当日の夕方に連絡が入り、彼の家の前で待ち合わせる。
長期戦にしたくはなかったので、タバコに火を付けてすぐに仏法の話をする。

もっこり「AB君、俺仏法やってんだ。もしAB君が仏法やれば宿命転換っていって根本がら良い方向に変われる。報われない努力がなくなってぐ。みんなスゲー功徳貰ってっさげ今がら一緒にやろうぜ!あ、先輩も今アパートの前さ来てるよ。」

AB「わがった。その先輩待だせでも悪いし吸ったら行ぐが。」

2人で駐車場へと向かう。
そこには白いディーゼル車が煙をもくもくと出しながら停まっていた。
運転席からSSKさんがタバコをくわえながら顔を出す。

SSK「ういーす!もっこり君がら話は聞いでるよ!よろしぐの。とりあえず車の後ろさ乗れや。」

ABさんの表情が一気に引きつる。

AB「し、失礼します…。」

車が動き出すと、私は入信報告書をABさんに渡す。

もっこり「移動中で書ぎずらいがもしんねぇげどこれ、書いで。ほれ、ボールペン!」

ABさんのボールペンを持つ指先はひどく震えていた。

もっこり「金はかがんねぇし何も送られねぇがら!わがったら書いで。」

AB「お、おう…。」

ゆっくりと入信報告書を記入する。
近くの公園の駐車場に車を停めてKYさん宅の自宅拠点に着く。

AB「KY?KYってアイツ?」

もっこり「んだ。AB君の同級生のKY。」

AB「あの人もやってんなが。意外だの。」

雑談しながら仏間へと入る。
入信勤行後、SSKさんと解散すると開口一番に、

AB「SSKさんってヤクザじゃねぇよの。報告書書いだげど大丈夫が?あれ書がねぇど海に沈めらぃるど思ってビビりながら書いだんげど。。。」

もっこり「大丈夫だ。俺もSSKさんもみんな書いでる。それにSSKさんは普通の大工さんだ。なんもねぇがら心配すんな。」

AB「そう言われでも不安だの。まあとりあえずわがった。しばらく暇だがら勤行やってみるよ。」

2人で夜空を見上げながら、いっぷくしてこのようなやりとりを行う。
私たちの言葉は、煙と白い吐息と共に夜空にかき消された。


ーこの時から顕正会の仏法で誰人も功徳を必ず頂けるのだと疑うことなく戦い続けた。
全てこの一連の出来事が今後の私の原動力となる。
やがてこれらの現証が、全て魔の通力だったと解る10年間以上の間は…

JJはあの日の翌日、公然わいせつで逮捕されたことが判った。
女子高生に対して背後から抱きついたとのことだった。
地方紙にも掲載されて…これは後から聞いたお話だが、浅井城衛さんはカンカンだったらしい。
なんでも浅井会長の耳にもJJのお話が入ったらしい。
ビデオ放映にいつも映っているあのお馴染みのお2人の名前を聞いた当時は、意外と近い存在なんだなあなんてしみじみしながら考えたし、何よりどういうリアクションをしたのかが気になった(笑)


結果的にJJは私と一度も活動することなく謹慎処分となり、顕正会から姿を消した。


ーそして、あれから毎日のようにSSKさんが私に電話する。


「お数珠どお経本持ってTKD商店さ来てくれの。待ってっさげ。」


そう話しながら家の近くまで迎えに来てくれた。

毎晩市のはずれにある山の麓(ふもと)にある自宅拠点まで財も労も惜しみなく、あの人は高校生だった私一人の為に身を粉にしながら連れてってくれた。 
雪道や渋滞などで定時の勤行がギリギリ間に合わなさそうな時なんかは、

SSK「もっこり君さ功徳積んでもらいだいはげ俺はこごまで連れできたんだ。こごで降りで勤行やって来い!俺は車に残って勤行やっから!」

などと話して、私の参詣を最優先に考えていてくれた。
私を日曜勤行やビデオ放映に参加させた後も、

SSK「難しがったろ(苦笑)連なって俺達と会ってれば自然に覚えっさげの。難しぐ考えねでいいがらや。」

なんてよく声をかけてくれてた。
参詣の時はいつも、所属を記入していた。
どうやら私は、

12隊AS支隊SSK班らしい。
HRさんはSSK班を抱えている副長とのことだ。
因みにあのJJも嘗ては班長までいって、支隊の中ではズバ抜けて入信を叶えていたらしい。
私を勧誘した時は例の106万円事件の後に某駅前スーパーでボロニアソーセージを万引きして捕まり、組長に降格後の復帰戦だったそうだ。そして、

功徳、魔障、罪障消滅、一生成仏、国立戒壇、三毒、無間地獄…

基本的なことは全てSSKさんから学んだ。
当時参詣する際に靴下を履くように何度も教わったこともあり、自宅でも全裸に靴下を履いて勤行するようになった。
移動中の車内では、私が入信する前のエピソードを色々話してくれた。

「恐怖の御観念文エピソード」

SSKさんの話の中で私が勝手にそう名付けているエピソードがある。
2つあるのだが、
1つ目は御観念文中にJJが何故か後ろに下がり、私が入信する時に御導師をしていたHRさんの指先がJJの尻の間にキレイに挟まった。

JJ「おふっ…」

御観念文中に静まり返る仏間の中心で、勢いの良いカンチョーが仏間でJJにされたお話である。

JJ「ウホッ、おでHRくんがらカンチョーされだぁ〜」

HR「最悪だ…」

勤行を終えて仏間から出て、このようなやりとりをしながらHRさんはひたすら手を洗っていたらしい。

そして2つ目は、
御観念文が終わって皆が頭を上げる瞬間にJJが甲高いおならをして、それが後ろにいたHRさんの鼻へと直に入り、勤行が終わった直後にJJは御挨拶もせずに、

JJ「やっべでやっべで〜!!(汗)」

と、言いながら両手で尻を抑えてものすごい勢いで硫黄臭くなった仏間を出たとのこと。そして、

SSK「すんません。さっき屁した奴連れできたの実は俺なんです。。。」

と、仏間に居た女子部全員に話すとみんなが大爆笑。
SSKさんはひどく赤面したというお話である。

もっこり「しかし何故HRさんばっかりそんな目に遭うんすか(爆笑)」

なんてSSKさんに話していると、少し前から勧誘を全くしなくなって信心の調子が悪いことを話しながら、私に魔障と別罰と三世の因果の話をしてくれた。
いつも彼は馬鹿話8:指導2の割合で私に接してくれて、当時の私はそれが居心地良かった。

私は最終的に顕正会を邪教と判断して日蓮正宗に帰伏する形となったが、今でもSSKさんには感謝しているし、尊敬している。
面倒見の良い班長だったSSKさんの背中を後部座席から見ながら、

もっこり(班長ってカッケぇな!俺もSSKさんみたいに輝いてる人間になりてぇ。)

と、入信1週間程で心からそう思うようになった。
ある日参詣が終わった後にもう閉店した某100円ショップの駐車場で、SSKさんと語り合っていた。
私の友人に悩んでいる人達が沢山いる話をした後に、

もっこり「しゃくぶくって自分がやってもいいんすか?」

SSK「もちろん、一緒に頑張ろぜっ!約束取れだら俺達応援入っがら!!但し高校生以上じゃねぇど入信は出来ねぇがら、タメが先輩さ声掛げるようさしての。」

もっこり「なんで中学生以下はダメなんすか?」

SSK「義務教育も終わって自分の意思で物事を判断出来る時期が高校生以上だがらがな…?多分。」

もっこり「なんとなくですけど…了解っす。」

高校生以上の入信じゃないとダメだということに引っかかりは感じだが、勧誘していいというお話は私の中では意外な返答だと思った。
何故なら、私が顕正会に入信した時は登用試験の直後。
これに合格してるか、もしくは班長などの役職がなければ折伏は出来ないものと思い込んでおり、ダメ元で聞いてみたからである。
特に当時参詣直後に集まるメンバーがいつも、

AS支隊長
HR副長
SSK班長
もっこり

だけだった為、余計にそう思った。
参詣後は毎日この4人で拠点近くの「いっぽ堂」という物産店(?)だったかと思うが、既に閉店した後のそこの駐車場に集まり、全員でいっぷくしながら語り合っていた。
後から聞いた話だが、この時のAS支隊は停滞のピークだったらしい。
故に、「長一人」と呼ばれる班員を抱えていない班長以上の幹部しかいない状態だった。
新潟にYM班長、在京には後の部長になるOS副長がAS支隊のメンバーとしていたが、彼等も同様に当時は長一人だった。
あとは「化石」と呼ばれるビデオ放映などに時々参加するだけの人達だけだった。
そのようなこともあり、入信間もない私は支隊の方々からこれ以上ない位に大事にされていた。


100円ショップの駐車場で語り合った後、家に着き食事をとりながらずっと悩んだ。
高校生以上であれば、皆に教えることができる。しかし実際悩んでる友達は多い。
誰から行けばいいのだろうか、どうしようか。。。と。

マグカップに注がれた麦茶を勢いよく飲み干し、険しい表情をしながら下を向く。
部屋で一考の後に唱題をはじめた。
無論、全裸に靴下で。 

ー2005年1月下旬


SSKさんと私はJJが逮捕された話を女将さんから聞いて、暫くの間呆然としていた。
突然の出来事だったので、状況も理解出来ずに吹雪の夜空の星を見つめながら、ただそこに立っていた。
SSKさんが一瞬真剣な表情になった後に、ゆっくりと立派に生えた髭と一緒に口を動かし始める。 

SSK「もっこり君、とりあえず俺の車さ乗ってビデオでも観に行ごうぜ!」

もっこり「分かりました。失礼します。」

助手席にはCDなどが山積みになっていたため、後部座席に座る。
私たちは前回に入信勤行の席でお会いしたが、まだ入信間もない私は顕正会員としてではなく一人の先輩として彼に接していたので、ビデオとはビデオ放映ではなく隣町にあるショッピングモールの映画館に誘われたと思っていた。
男2人きりで夜の映画館に…想像すると怪しい光景である。
今思えば最初に一言ビデオ放映の存在を教えるべきじゃないかと考えるが、当時はSSKさんもとりあえずビデオ放映に連れて行きたいと必死だったのだと思う。
車が動き出すと、私たちは他愛のない話題で盛り上がった。

スーファミで熱中したゲームはお互い何だったかとか、お互い吸ってるタバコの銘柄の話だったり、うまい棒の1番好きな味についてだったり…
決して口が達者な方では無かったが、当時の私に話を合わせてくれてとても楽しかったのを憶えている。
SSKさんに合わせ一本、また一本と後部座席の灰皿に短くなった赤LARKを押し付ける。
両親や親戚の車以外は殆ど乗ることがなかったので、先輩の車で一緒に堂々といっぷくしながら談笑することが当時の私にとっては新鮮で、楽しくてしょうがなかった。
時間はあっという間に経ち、隣町のショッピングモールも過ぎて更に遠いどこかへ向けて車を走らせる。

もっこり「どこまで行くんすか?」

SSK「TO市だよ。とごろでもっこり君はこの前一緒やった勤行やってるが?」

もっこり「まぁ…ちゃんと合ってるかは分かんないんすけど(苦笑)やってますよ。」

SSK「なにぃ!?マジでがー!!」

びっくりするくらいのリアクションを見せる。
彼の声は発狂に限りなく近かった。
何もそこまで大声出さなくても…そう思っていると彼は携帯電話を取り出して、興奮気味に誰かに電話をする。

SSK「もっこり君勤行やってるって、ヤベーよマジでありがてぇ!!」

そのようなやりとりはせめてこっそりとして欲しかったのだが、余程興奮していたのだろう。
それにしてもこの勤行を続ける人ってそんなに少ないのか?と思った。

やりとりを終え、SSKさんは私に質問を始める。
勤行やってていいことはあったのか?勤行を続けようとしたきっかけは何だったのか?そのような内容だった。

もっこり「いいことがあったかどうかはまだよく分からないですけど、今生きてて充実感が全然ないんですよ。友達と会っても大体いつも同じように遊んで、学校行っても家で過ごしていても同じように時間が流れていくだけで…とにかく人生がつまらないと思っているんです。生活に刺激が欲しいっていうんですかね。良く言えば充実したいって感じです。それで、無邪気に話してる大人の人たちを前の勤行したところ(自宅拠点)で見て、勤行しながら皆さんと会ったり話したりしていけば自分の人生観も変わって充実できるかなって思ったんで、続けてみてます。」

SSK「んだながぁ〜いやぁありがてぇの!!絶対もっこり君さも功徳あるがらや。」

もっこり「くどくってなんすか?」

SSK「功徳はいいコト、ご利益のごどだよ。工藤くんのごどじゃねぇぞ!JJなんか国が払ってながっただげなんだげども、106万の臨時収入があったんだぜ!」

もっこり「マジっすか!?106万ってヤバいっすね!」

SSK「それがやぁ…あの野郎何に使ったど思う?」

もっこり「酒とかうまいもの食べてなくなったとか?」

SSK「惜しいげどあの野郎はもっと馬鹿だぜ!もっこり君があの野郎の立場だったら何に使う?」

もっこり「惜しいんすか(笑)自分があの人だったら、やっぱ安く借りれるアパートを先に探しますよね。そしたら一回ぐらいは高級寿司とか食って、免許がなかったら免許取って、免許があれば中古車買いますよ。」

SSK「普通だばそういう使い方するよの。でもアイツは毎日ビジネスホテルさ泊まって、ホテル駅前だなさすたみな太郎さ毎日タクシーで30kmかげで通って、チャリ改造しまぐって1ヶ月足らずで全部なぐなっちまったたんだぜ!せめて電車乗れよってな、使い方馬鹿だろ(爆笑)」

もっこり「やっぱあの人レベル高いっすね!!すたみな太郎が贅沢の限界レベルってが!!(爆笑)」

今振り返れば、悪鬼魔神入りしニセ本尊による魔の通力に誑かされて、当然六根清浄がされていないJJは、そういうお金の使い方で身を滅ぼしたのであろう。
実際臨時収入が入った時点で、
「大六天の魔王め、かかってこい!バキュームカーで吸い込んでやる!!池田のブルドッグソースめ。んんぅ〜〜〜〜!!!」
などと口にしながらシャドーパンチをして、すぐ勤行もやめたらしい。
臨時収入が入るまではSSKさんに電話で、


「おで、今日ごんぎょぉ6かいやったよ!」

このようなやりとりが毎晩なされていたらしい。とことん分かりやすい人だなぁと思う。

2人で大笑いしているとTO市の自宅拠点の駐車場に着いたが、どうやらビデオには間に合わなかったらしく、SSKさんは少しだけ残念そうな表情を見せる。
…誰かが私達が乗っている車に歩いて向かってくる。


AS「あ、どうもASですぅ〜。もっこり君、今日がはじめましてだの。やっと会えだの〜嬉しい!今日はもう遅ぇはげまだ今度みんなで色々話そうの〜。」

もっこり「はい!はじめましてもっこりです。楽しみにしてます!それじゃ。」


初めて会ったAS支隊長は角刈りで眼鏡をかけていて長身の、板前さんの格好をさせたい様な感じの風貌だった。
紺色のつなぎ姿が勿体ない。そう思わせる人だった。

この日の夜の帰り際に、SSKさんが今度仏法の話をしたいと私に話して家の近くまで送ってくれた。


ーこの日を皮切りに、SSKさんが毎日の様に隣町から雪道2時間かけて、自宅拠点や日曜勤行、ビデオ放映などに連れてってくれる様になった。


そう、JJからの無言のバトンがこうして私に渡されたのだ。

ー2005年1月16日PM4:00SKT駅前にて


雪こそは降っていなかったが、いつも以上に気温が低くて冬風が絶えず音を立てる。
肌に突き刺さる冬風に耐えながらJJを待つ。
私の隣には友人TYとその彼女さんMMもJJに呼ばれたとの事で来ていた。
前日にはJJから私の携帯に、
「ちゃ、明日の16時にSKT駅で待ってまつ。」
と、メッセージが来ていた。
おかしな日本語だったが、時間に対してここまで几帳面なJJは見たことがなかったため、これから何があるんだろうと3人で話していた。
 
その時、JJが白いディーゼル車の助手席から降りて私たちの所へ駆け寄る。

JJ「よぉ!寒がったろ。さぁ、乗って乗って!」

勢いよく私たちを車に乗せようとする。
運転席には格闘技が好きな方はご存知であろう、武藤敬司さんとそっくりな人が座っていた。
彼は私たちにSSKと名乗った。
SSKさんの服装はB系と呼ばれるだぼだぼの服装で、金色のデカいネックレスなどを付けてイカツイ感じの人だった。
山本Kidさんの次は武藤敬司さんかと思いながら、私たちは挨拶を交わしてお近づきの印にとSSKさんにタバコを渡す。

SSK「高校生がらタバゴもらっちまったなぁ〜ありがどの。美味しく吸わせでもらうわ!」

見た目とは裏腹に、話すと優しそうな人だった。 
暫く談笑していると、JJがそわそわし始める。

SSK「JJ!彼等に話しっで事あんなんでろっ!」

SSKさんが背中を押すように話しかける。
漸くJJが口籠もりながら私たちに語り始める。

JJ「俺だぢ仏法っていうのやってんだ!」

TYとMMは隣で話を聞かずに2人で談笑している。
取り敢えず、私だけで話を聞くことにする。

SSKさんとJJに経済的な功徳があったこと、亡国が近いこと、仏法を実践して宿命転換しなければ個々人も救われない事をJJが必死で私たちに語りかける。

SSK「とりあえず、俺だぢが隣でやり方教えっさげって一回騙されだつもりでやってみ?」

もっこり「分かりました。自分は大丈夫ですよ。」

宗教に対する偏見が特になかった私は、2つ返事で了承した。
多くの西洋人がキリストを信じるように、日本人が仏教を信仰することは悪いことではないと思ったからである。
そういうものだろうと思い、断る理由などなかった。

SSK「着いだぞ!」

私達は公園の駐車場に着き、車を降りて彼等について行こうとする。 

JJ「おでの友達は絶対死なせねぇ!!この仏法やれば絶対救わいる。勤行一緒に頑張ろう!!」

JJが涙を流しながら私たちに訴えた。 
隣では相変わらず2人が談笑していた。その横で、私はこれはタダ事じゃないと確信していた。
JJは殆ど漢字の読み書きすらできていなかったくせに私にはいつも、

「おでは東大出身だ!!」

などと、誰にでもすぐ分かるようなウソを語っていたからである。
ここまでウソが下手くそな人間が私たちのために涙を流しながら一生懸命に訴えているのだ。
彼がウソをついているとは到底思えない。尊さすら感じる。
圧倒されていた私はSSKさんに手招きされ、そこへと向かった。

そこはごく普通の住宅だった。
表札にはKYと書かれてある。珍しい苗字だ。
HND町のKYさん…同じ学区内で中学時代の同級生と同じ苗字だったので、まさかと思いながらお邪魔する。

そこに入ると綺麗に掃除されていたフローリングの廊下が仏間に直結しており、「体臭のキツい方はご遠慮ください。」という貼り紙があった。
寒さで身を震わせながら仏間へと入る。


そして予感が的中する。
KYさんのお姉さんが仏間に居た。
KYさんのお姉さんとは中学時代に一度だけ面識があり、彼女は地元でも有名な不良だった。
私がお会いしていた時もひどく荒れていたのを憶えている。
そんな彼女が時々金髪を指で掻き分けながら、一生懸命にお題目を唱えている。

これは本当に何かあるかもしれない!!

更にその想いは込み上がる。 

SSK「じゃあこごさ、名前ど住所ど誕生日ど携帯の番号書いで。何も送られねぇし、金もかがんねぇがら心配しねぐても大丈夫だよ。」

…とはいうものの、全く知らない人たちや団体に個人情報を公開するのは、不安や心配が確かにあった。
隣で2人は唖然としている。話を全く聞いていない状態で仏間まできたからそうなるのも当然だ。
抵抗感を殺しながら、入信報告書を記入していく。
2人も私につられて納得しない表情を見せながら、ゆっくりと入信報告書を記入し始めた。
しかし、この時お2人は下の名前をひらがなで書いて他の住所や生年月日を記入せずに入信報告書を提出する。
今振り返っても、これはどうやって他の住所、生年月日、電話番号、苗字、下の名前の漢字の情報を拾ったのか疑問である。
半強制的に連れて行かれたのは事実だったし、納得しないのも理解できる。
しかし、自宅拠点の仏間には自分たちよりも目上の方々が何人もいる。
断れない空気だったことは確かである。
その横では、

JJ「HRく〜ん!ウホッ、おでしゃぐぶぐ3人決まったよ!!」

彼の顔にはさっきの真剣な表情は全くなく、これから御導師をするHRさんに鼻息を荒くしながら調子良さそうに語りかける。 

HR「分がったがら、早ぐ座れ。」

JJに対して、冷たくあしらう。
その時のHRさんは見た感じ眼鏡をかけて知的な感じの人だった。
JJやSSKさんとは全然違う感じの人だったが、JJに対しての態度を見て「厳しそうな人だな。」 と思ったのが第一印象である。 

やがて入信報告書の記入が終わり、入信勤行が始まる。
(2人の入信報告書は下の名前をひらがなで書いた状態のまま、そのまま行われていた。)

「南無妙〜…」
 
全員が真剣な表情で勤行を始めた。
方便品を読み始めてから、JJが私たちの御経本のどこを読んでいるか笑顔を見せながら、指をさしてまた正面を向く。それが何回も繰り返された。
正面を向いて勤行をするJJの表情は真剣そのものだ。
いつもニコニコしていた目はギラギラさせながら血走っており、いつも冗談ばかり話してヘラヘラしていた口も尖らせて必死に唱えていた。
彼がここまで真剣な表情になっているのは初めて見た。
後ろでも皆が真剣に祈っていたので、私も圧倒されながらそれに続く。

暫くして勤行が終わる。

HR「入信勤行にあたり、会長浅井先生の指導を代理として、伝えさせていただきます…」

入信という言葉が私の胸に重くのしかかる。
私が考えていたものは、神社仏閣などにお参りして軽く手を合わせて終わりだったからだ。
入信報告書も記入したし、もう後戻り出来ないような感覚で急に不安になる。
いつもと違う真剣なJJの表情を見つめながら、不安な気持ちを必死に打ち消した。

人間とは臆病なものである。
当時の私は学校の先生や両親に対しても常に生意気な態度をとり、昼夜関係なく家や学校を抜け出しては好き放題遊び歩いていた。
常に不真面目に過ごして、後ろ指をさす大人に対しては暴言を吐いて反発していた。
いつも粋がっていたが、ちょっとした事ですぐに臆病になる。
結局はこんなものである。

やがて入信勤行が終わり、HRさんが満面の笑顔で「おつかれさま!」と語りかけてきた。
私も笑顔で「ありがとうございました。」 と返す。
毎日みんな集まってお祈りしてるのか、それは必ず来なければならないものなのか等を質問した。

HR「特に強制ではないからみんなで勤行したくなったら、いつでもおいで。」

そう私に言い残してHRさんは仏間を去った。

老若男女問わず様々な人が大人も含めて真剣に勤行をした後に仏間で和気あいあいと語り合っている光景を見て、私の瞼(まぶた)には大変心地よく映った。
当時の私が抱いていた大人に対するイメージが、現実ばかりに囚われて事務的に職場と自宅を往復し続けるばかりのつまらない人たちというものだったからだ。

再びSSKさんの車で駅まで送ってもらい、TYとMMは知らない間に変な宗教に入れられたと嘆きながらブチ切れていた。
無理もない。
暫く2人の愚痴を聞いてから、最後に馬鹿話をしてその日は解散した。


ー翌日

やり方がよく分からなかった私は方便品寿量品だけを唱えて、お題目と御観念文は唱えなかった。
そして、それが常に全裸の状態で行われた。
真冬だったが、風呂上がりに全裸で勤行した後に冷たい麦茶を一気飲みするのが最高に気持ち良かったからである。


ー1週間後

JJから、いつものワン切りがきた。
いつもの様にかけ直す。

JJ「よぉ〜もっこり君!今日はおでの友達紹介するわ。AS君って人だ。」

AS「あ、どうもASです〜。JJからお話は聞いてます。今度みんなで会いましょう!もっこり君ど会えるのも楽しみさしてるんで。」

もっこり「はじめましてASさん、もっこりです。はい!分かりました。ヨロシクお願いします。」
 
このASさんという人は私が所属していた組織の支隊長である。
非常に腰が低く、感じのいい人だった。少し話した後、すぐにJJに代わる。

JJ「明日の夜7時半におでのいるKD旅館さ来い !」

もっこり「わかりました、大丈夫っすよ。 それじゃ、また明日。」

電話を切り、就寝する。 

翌日の約束の時間にKD旅館に向かうと、後ろからドスの効いた声が聞こえた。

「もっこり君!」


振り返ると、SSKさんが白いディーゼル車から顔を出して照れくさそうに軽く笑顔を見せながら私に挨拶をする。

SSK「もっこり君、JJどごさ居んのが知らねぇが?」

もっこり「いや、自分今来たばっかなんで。」

JJと連絡がとれないと話していた。
私からも電話をかけてみたが、全く応答しない。
とっさにKD旅館の方を見る。JJの自転車もない。
妙だ。いつもはJJが首を長くしてキョロキョロ周囲を見渡しながらそこに居るのに。
旅館の中に入り、女将さんにJJの居場所を尋ねてみることにした。

SSK「JJさんって今どちらにいらっしゃるか分かりますか?」

女将さん「…彼は先程、逮捕されました。」 

お話を進める前に…皆々様へ
あけまして、おめでとうございます^ ^
お正月は如何お過ごしだったでしょうか?
家でゆっくり過ごされた方、ご家族と出かけた方、中にはお仕事が忙しかった方もいらっしゃったかとは思います。
私もっこりは自宅でいつもと違うちょっとだけ贅沢な料理を作ったりして過ごし、先日は同志の皆様と一緒に大石寺で初登山に行ってきました٩( ᐛ )و

2019年、皆々様にとって良い一年でありますように☆彡
今年ももっこりブログをヨロシクお願い致します( ͡° ͜ʖ ͡°)



ーあれからJJがしつこくワン切りしてくる。

寝てる時も、食事してる時も、家でだらだら過ごしている時も…四六時中だった。

これは私も悪かったのだが、試験中で学校の教室内が静まり返る中でもJJからワン切りがあり、3和音のワンナイトカーニバルが鳴り響いた時もあった。
あの時は「今時3和音かよだっせぇ〜!!(笑)誰や?」と誰かが席の後ろから言っており、私は赤面を隠しながらポケットに手を入れて、さりげなく携帯の電源を切った。

生活に支障をきたすくらいの頻度だったので、さすがに腹が立った私は仕返しに夜中の3時頃にワン切りしまくってやろうとしたが、1発目のコールが鳴る前にJJが勢いよく電話に出た時はトリハダものだった。

そんなやり取りが続き、やがて彼からよく「会おうぜ!」と言われるようになった。


ー2004年12月下旬

まもなく2004年が終わろうとしていた。
テレビをつければ一年を振り返る番組ばかりで、どこのお店に行っても福袋の宣伝などで小さな冬の田舎町は賑わっていた。
お正月休みに入った会社やお店は静けさを見せ、毎日観ている街の景色はいつもと違った。
毎年のことだが、いつもこの時期になると一年が終わる切なさと新たな一年な対する新鮮な気持ちが同時に込み上がる。
そして、顕正会に入信してよりは、いつもこの時のことを今になってもよく思い出してはしみじみとしながら一人で懐かしんでいる。

そんな冬休みに入ったある日、私はJJから「おでの部屋さ来い!」と誘われてそこに向かった。

好奇心から向かったそこは、アパートではなく老舗の旅館だった。
入口には立派な木彫りの熊が置かれてあり、小柄で人当たりの良い女将さんと思しきご婦人が「いらっしゃいませ!」と私に声をかけてきた。

もっこり「JJさんはいらっしゃいますか?」

女将さん「はい、こちらになります。」

部屋を案内され、そこをノックする。

JJ「うぇ〜いよぐ来だっけのぉ〜どおぞ!」

もっこり「お邪魔します(笑)ってかJJさんって下宿してるんすか?」

JJ「いや、あの女将さんいい人だがらおでだげタダだよ…!」

もっこり(…怪しいな(笑)目泳いでるしこりゃ居候だろ!)

私が怪しみながら彼の顔をじっと観ていると、JJがカバンから1枚のDVDを取り出し、彼はこれを一緒に観たいと私に語りかける。
彼の表情は真顔だ。私もそれに合わせる。
彼は手際よく、DVDをポータブルプレイヤーにセットして、再生ボタンを押した。


内容はアダルトビデオだった。


顕正会関連のDVDだと思った方も少なからずいらっしゃったと思う。
高校生の私にこんなモノを白昼堂々と見せる彼に対して、呆れた表情を出しながらこんな大人にはなりたくねぇな…と考えていた。
次の瞬間、彼が真剣な表情で口を動かし始めた。

JJ「もっこり君、この子めんごいだろ?おでの元カノの栃木の女どそっくりなんだわ。あの子どは結婚まで話がいった。160万円の指輪も買った。でもクソ兄貴が全部ダメさしたんだ!!」

顔を真っ赤にしながら私に訴えかける。
お兄さんは現役のヤクザで、JJのお金は全て騙し取られて転々と野宿をして、女将さんに頭を下げて旅館に泊めさせてもらっていたとのことだった。
誰がどんな歴史を歩んでいたのか分からないものだ。
彼に対して、切なさや哀しみという感情を読み取れた。今まで私が見たことのなかったJJの一面である。
しかし、申し訳なかったが私はビデオがうるさくて心の底から親身にはなれなかった。


ー更に、私は未来の同志と出会うことになる。

ある日、JJは駅前でシケモクを拾って幸せそうな顔でそれを整え、誰が口をつけたか分からないそれを吸い始めた。
話を聞くとこれは彼の日常で行われており、可哀想な姿になったショートホープに口をつけていた。
知らない人との間接キッスが日常に行われていたのである。

もっこり「汚ねぇ(笑)」

笑いながら本音が溢れる。
しかし、もう彼に対して驚いたり引いたりする事はなかった。
こういう人なのだろうと考えるようになっていた。感覚がマヒしていたのだろう。

JJを建物の影まで手招きで誘導させて、彼がシケモクを吸っている横で私も一緒にいっぷくする。
いっぷくが終わり、駅に戻るとJJは一人の高校生に声をかけた。
彼は私を見るなり挨拶をして、MKと名乗った。
MKとは今後、顕正会で共に幹部職となり活動する事になる。
彼は平成16年9月の入信になるので、活動はしていなかったがこの時既にJJの縁で顕正会に入信していた。
当時の私はこの事に関しては何の知る由もなく単純にJJの知り合いと考えていた。

MKは面識こそなかったが、地元では遊び人と言われ有名だったので私も名前は知っていた。
確かに、彼は長身で男前だったし持っているものは高そうなモノばかりで、高校生の中では明らかにお金持ちだったが、話していると大変落ち着いており、人当たりが良くて私からは好感が持てる人だった。
人は外見で判断できないと思った。
JJを交えて彼と暫く談笑した後に、隣街に住んでいたMKは携帯を開いて時間を確認した後に、初めて焦るような表情を見せた。
そのまま私達に挨拶を交わして速歩きで駅へと向かった。
そりゃそうだ。
田舎の駅だったので電車の本数が非常に少なく、真冬に乗り遅れたら凍死モノである。
私はMKの焦る気持ちを察しながら、彼が改札の中へと入る姿を手を振りながら見送った。


ー2005年1月上旬

学校の冬休みも終わった頃に、JJからワン切りがあった。
それに気付き、私も電話する。

JJ「もっこり君、今度の日曜日の日中に会おう!!日曜日じゃねぇどおではダメなんだ。」

もっこり「JJさんどうしたんすか?そんな急いで。まぁ9日は家の手伝いあるんで無理なんすけど、16日だったら大丈夫っすよ。」

JJ「ゔ〜…どうしても無理が。。。わがった、16日の午後4時で駅前集合だ。絶対来てくれっ!!」

もっこり「わかりましたよ(笑)ちゃんと来ますから心配しないでください。じゃあその時にまた。」

私は電話を切り、部屋のベッドに横たわる。
JJがこの日じゃないとダメなんだと、もの凄い剣幕で話してきたために少々引っかかる部分はあったが、あまり深くは考えなかった。
仰向けになる。
頭上にはムンクの叫びのでかいジグソーパズルが吊るされており、その隣にはラッカースプレーで「世界征服上等」とラクガキされた世界地図。ベッドの横には机があり、その上には様々なタバコの銘柄の空箱が無造作に積まれている。
狭い部屋だが、やはり自分の部屋が一番に安らぐ。
友人にメールを一通り返した後、消灯して眠りについた。



ー今まで静かに唸っていた運命の歯車が、この日の夜から急速に動き始めた。


 

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